2013年8月11日日曜日

スウェーデン旅行記 Aug.2012 その第4回 都市再生と巨大ショッピングモール 

都心部の巨大商業モール


ストックホルムで非常に感銘を受けた現代建築は、商業モールでした。まさしく都市再生のモデルです。
発想の転換。そしてこれほどの再開発をやり遂げる企画力、デザイン力、調整能力、実行力、覚悟、またそれを裏付ける法規等全て本当に素晴らしいと思いました。
ちなみにこのモールの事業主体は、スウェーデンの年金ファンドが運営する不動産会社です。日本なら間違いなく財閥系不動産企業が手掛けるであろう事業ですね。これをスウェーデンでは年金ファンドがやっている。このあたりが福祉主義経済の真骨頂かもしれません。

GALLERIAN メインの入り口のひとつ。ハマンガタン通りに面している。上部に見えるのは街区に複数建っているオフィスビル。

都市の中心部に巨大ショッピングモール!? そうです。ショッピングモールは巨大である必要があります。しかし、そんな大きなモールを建物の林立する都市の中心部に作るには?

その見事な回答がストックホルムのGALLERIANでした。


古地図。中央の矢印をつけた街区が、GALLERIANの街区。左端がストックホルム中央駅。
以下のWikimapiaのURLをクリックしてみてください。現在のGALLERIANの敷地が現れます。
街区には、大きな5棟のビルがあり、そのビルの間を縫ってモールが組み込まれている様子がわかります。

http://wikimapia.org/#lat=59.3313095&lon=18.0678107&z=17&l=7&m=b


床面積の大きな中層ビルが5棟ほど立ち並んでいる一街区にその巨大モールはありました。ストックホルムの中央駅からほど近い街区です。地下から地上2階あたりまでをぶち抜いて作ってあります。そんな施設を作る場所をどこからひねり出したのだろう? 
答えは発想の転換にありました。街区にある既存建物をそのままに、地下(地下鉄駅を取り込み)から地上2階までの空間を拠出させ、巨大モールに作り替えてしまったのです。
つまり、既存ビルの足元に、巨大モールをズボリと差し込めばいいのです。
既存のビルの上階部は、おそらく何食わぬ顔をしてそのままオフィスビルとして使っているのでしょう。


と一言でいっても、作るのは容易ではないでしょう。
技術的には、各ビルはそれぞれ異なる構造である可能性もあり、何より地震のときなど違う動きをするでしょう。インフラはばらばら。階高も違うと想像できます。それを屋根で覆い被せ、地上では空間を魅力的に見せる設計をしなければなりません。
既存店舗やオフィスの立退きもしくは仮移動、権利関係の調整、利害関係の調整、法的な摺合せ、仮設中の補償やら、資金効率の悪化を厭わない投資をできるのか。工事中の仮設計画。それぞれの導線を繋ぎなおす等等等等、気が遠くなるような作業を乗り越えたのでありましょう。
それでもそれをすることによって、巨大な敷地を都市の中心部に捻出し、その場所にふさわしい、人のにぎわう施設を作る。この発想には度肝を抜かれました。


巨大モールの吹き抜け空間。大きいが、一体感を感じさせる。右側の商店街と、左側の商店街はそれぞれ違う建物の下層階を使っている。
2階回廊を繋ぐ橋状のデッキから、モールの天井を見上げてみます。

回廊をめぐらすデザイン処理はきれいです。

足元はひろびろ。カウンターだけの店舗も楽しげです。

巨大ショッピングモールは街の真ん中にあった方が良いに決まっています!

ショッピングモールが大きい理由としては、来店客を如何にしてリピーターへ変えるのか、が解であります。来店客には、「とても全部は見きれない」と思わせる大きさと商量で圧倒するのです。そして、また来たいという空間の楽しさと回遊性を、巨大空間の一体感で表現しなければなりません。それを作るために、商業モールは郊外の巨大な立地を求め、発展していきました。交通手段は車ですね。しかし、それが、都心に在ったら、とあたりまえのことを実現してしまったのが、このモールです。

この場所は、もともと15世紀のブルンカベルグの戦いがなされた古戦場だった場所で、長らく人が寄り付かず、街の中心部に近いながらも開発が遅れていた場所ではあったようです。
その後大きなオフィスビルが数棟建てられ、1976年にはそのビル群の谷間を縫ったようなアーケード街が作られ、GALLERIANの前身のような大きな商業施設が作られていました。
更に2011年に現在の形に再開発され、素晴らしい空間に蘇りました。

但し、ここはスウェーデン。
商業施設の巨大集積地であっても、どの店もカジュアルな物を売っていて、高級店と思える店は皆無です。それぞれ尖がってはいるのですが、少々日本人の小生から見るとメリハリがかけているように見えます。
国民性ですね。お堅い窮屈な歴史があるような高級ブランドは、そもそもスウェーデン人は好きじゃないのです。自由な感じが良いようです。


街区の全体の外観。建物の間がモールの入口。右側の道路はレベルの異なる幹線道路で、多くのバスがこの施設にアプローチしていた。この道(建物の3階になる)からもモールの入口は開いている。
建物と建物の間から地上に出る処理のひとつ。

違和感はないです。


道路の足元からの入り口

道路の下に位置する喫茶店。奥のコンクリートの壁状に見えるのは、道路を支えている橋脚。

反対側のグランドラインの入口の一つ


こちらも、ビルとビルの間

ガラスの箱で処理している。


大きな広場にも街区は面しています。

ビルの一階からの入口の処理。
このように外観を見ていくと、ただの少し古いビル群に見えると思いますが、その足元に広がる空間が素晴らしい商業施設になっているという都市再生の1例でした。

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